パーキンソン病の薬一覧

分類 成分名 商品名 規格・剤形・補足
レボドパ単剤 レボドパ ドパストン 散((985mg/g)/Cap250mg/静注
ドパゾール 錠200mg
レボドパ+DCI レボドパ+カルビドパ ネオドパストン
ドパコール
カルコーパ
レプリントン
錠L100mg(レボドパ100mg・カルビドパ10㎎)/錠L250mg(レボドパ250mg・カルビドパ50㎎)
メネシット 錠100mg(レボドパ100mg・カルビドパ10㎎)/錠250mg(レボドパ250mg・カルビドパ50㎎)
デュオドーパ 経腸液(レボドパ2g・カルビドパ500mg)
レボドパ+カルビドパ+エンタカポン スタレボ 錠L50㎎(レボドパ50mg・カルビドパ5㎎・エンタカポン100mg)/錠L100mg(レボドパ100mg・カルビドパ10㎎・エンタカポン100mg)
レボドパ+ベンセラジド マドパー
イーシー・ドパール
ネオドパゾール
錠(レボドパ100mg・ベンセラジド25mg)
ドパミン作動薬
(麦角系)
カベルゴリン カバサール 錠0.25mg
ブロモクリプチン パーロデル 錠2.5mg
ペルゴリド ペルマックス 錠50μg/錠250μg
ドパミン作動薬
(非麦角系)
アポモルヒネ アポカイン 皮下注30㎎/3mL、投与間隔2h
タリペキソール ドミン 錠0.4mg、粉砕〇
プラミペキソール ビ・シフロール 錠0.125mg/0.5mg
ミラペックスLA 徐放錠0.375mg、粉砕×
ロピニロール レキップ
レキップCR
錠0.25mg/1㎎/2㎎/徐放錠2mg、普通錠粉砕〇、徐放錠粉砕×
ロチゴチン ニュープロ パッチ2.25mg、肩、上腕、腹部、臀部、大腿へ24hで貼替
ドパミン遊離促進薬 アマンタジン シンメトレル 細粒10%/錠50㎎/100mg
ドパミン代謝賦活薬 ゾニサミド トレリーフ 錠2.5mg/OD錠25mg/50mg、粉砕〇
MAO-B阻害薬 セレギリン エフピー 錠2.5mg(GE)/OD錠2.5mg
ラサギリン アジレクト 錠0.5mg/1mg
サフィナミド エクフィナ 錠50mg
NE前駆物質 ドロキシドパ ドプス 細粒20%/OD錠100mg/200mg
COMT阻害薬 エンタカポン コムタン 錠100mg
アデノシンA2拮抗薬 イストラデフィリン ノウリアスト 錠20㎎、粉砕×
抗コリン薬 トリヘキシフェニジル アーテン 散1%/錠2㎎
ビペリデン アキネトン 細粒1%/錠1㎎/注0.5%
ピロヘプチン トリモール 細粒2%/錠2㎎
マザチコール ペントナ 散1%/錠4㎎

レボドパ含有製剤

レボドパは、ドパミン前駆物質(L-ドパ)、脳内でドパミンに転換されて生理作用を発揮する。

レボドパは、十二指腸を含む小腸上部より吸収され、LAT1/2(アミノ酸トランスポーター、L輸送システム)が吸収に関与している。

レボドパの吸収速度は胃排出時間、胃液のpHなどの影響を受ける。具体的には胃pHが低い方が吸収が高く効果も高い。そのため、合併症として頻度の高い便秘の治療に酸化マグネシウムを使用するとレボドパの効果が減弱するため、他の便秘薬が推奨される。

カルビドパやベンセラジドはレボドパ脱炭酸酵素阻害薬であり、末梢でレボドパが脱炭酸されてドパミンになるのを抑え、レボドパの脳内への移行を高める。

同じレボドパ量だと、レボドパ脱炭酸酵素阻害薬の種類の違いでマドパーの方がメネシットよりも血中濃度が高くなるため、同用量での切り替え時にマドパー→メネシットだとレボドパの血中濃度が下がってしまいます。

  • ドパストン、ドパゾール、ドパール(レボドパ)
  • ネオドパストン、メネシット、カルコーパ、ドパコール、パーキストン、レプリントン、デュオドーパ(レボドパ・カルビドパ(10:1))
  • マドパー、イーシードパール、ネオドパゾール(レボドパ・ベンセラジド(4:1))

レボドパ賦活薬

ドパミン合成を増やし、ドパの効果を強くする。振戦やウェアリングオフ現象を改善する。

  • トレリーフ(ゾニサミド) ・・・エクセグランにはパーキンソン病の適応はないので使用不可。

MAO-B阻害薬

選択的MAO-B阻害薬で、モノアミン酸化酵素Bにより代謝されるドパミンの分解を抑えて、L-ドパの作用を長時間維持させる。薬効時間を長くできるため、ジスキネジアには用いず、ウェアリングオフの症状の改善に使用する。

  • エフピー(セレギリン)
  • アジレクト(ラサギリン)
  • エクフィナ(サフィナミド)

COMT阻害薬

選択的COMT阻害薬で、L-ドパの作用を長時間維持させる。ウェアリングオフの症状を改善する。

  • コムタン(エンタカポン)

D2受容体刺激薬

ドパミン受容体を刺激してアセチルコリンによるパーキンソニズムを抑える薬。プロラクチンを低下させるため、妊娠、産婦の人は注意する。ジスキネジアを改善する。

  • パーロデル(ブロモクリプチン)
  • ペルマックス(ペルゴリド)
  • カバサール(カベルゴリン)
  • ドミン(タリペキソール)
  • ビ・シフロール、ミラペックスLA(プラミペキソール水和物)・・・レストレスレッグス症候群にも適応
  • レキップ、レキップCR(ロピニロール)
  • ニュープロ(ロチゴチン) ・・・パッチ剤。D1~D5までに高いアゴニスト活性。レストレスレッグス症候群にも適応。4.5mg/日からはじめ、1週間ごとに4.5mgずつ増量し維持量(9mg~36mg/日)を定める。AED使用時ははがすこと。
  • ハルロピ(ロピニロール) ・・・パッチ剤。D2、D3及びD4受容体に親和性及び内活性を示し、ドパミンD1及びD5受容体には親和性を示さない。
  • アポカイン(アポモルヒネ)・・・オフ症状レスキュー用の自己注射。最短10分~20分で効果を発現し効果時間約1時間。

DA遊離促進薬

ドパミンの放出を増やす。ジスキネジアを改善する。

抗コリン薬

ムスカリン受容体を抑制して、副交感神経を遮断し、パーキンソニズムを抑える薬。

パーキンソン病では、便秘が高率に発現するため抗コリン薬は使いづらい。そのため、抗精神病薬を投与している統合失調症患者の副作用予防に使われている印象。

  • アーテン、トレミン(トリヘキシフェニジル)
  • アキネトン(ピペリデン)
  • パーキン(プロフェナミン)
  • トリモール(ピロヘプチン)
  • コリンホール(メチキセン)
  • ペントナ(マザチコール)

NE前駆物質

ノルエピネフリンの前駆物質としてNEを補充できる。すくみ足にもちいる。

  • ドプス(ドロキシドパ)

アデノシン受容体拮抗薬

アデノシンA2受容体の拮抗作用。

パーキンソン病では、間接路でGABAニューロンを抑制するために必要なドパミン量が低下し、GABAニューロンを興奮させるアデノシンの作用が相対的に高まるため運動機能が低下する。

A2A受容体拮抗薬はアデノシンの作用を弱めるkとによりドパミンとのバランスを保ち、スムーズな運動につなげることができる。レボドパによるウェアリングオフの症状を改善する。

  • ノウリアスト(イストラデフィリン)

パーキンソン病について

パーキンソン病はアルツハイマー病についで2番目に頻度の高い神経変性疾患である。

年齢によっても黒質細胞が減少していくため、高齢になればなるほど罹患率が上がる疾患である。

ヘーンとレーン分類

「ヘーンとレーン分類」(Hoehn and Yahr classification)は、パーキンソン病の進行度を評価するために使われるスケールです。1967年にメラヴィン・ヘーン(Melvin Yahr)とマーガレット・ホーン(Margaret Hoehn)によって開発されました。この分類は、パーキンソン病の症状の重さと身体的障害の程度を段階的に評価することで、病気の進行を追跡します。

ヘーンとレーン分類は以下の5つのステージに分けられています:

  • ステージ1:症状は軽度で、体の片側に限局しています。
  • ステージ2:両側に症状が広がっていますが、バランスには影響がありません。
  • ステージ3:運動機能の低下が明らかであり、バランスに問題がありますが、独立して日常生活を送ることができます。
  • ステージ4:症状は重度で、日常生活の活動は自立して行うことが困難ですが、立っていることはできます。
  • ステージ5:車椅子に依存したり、ベッドで寝たきりの状態です。

ヘーンとレーン分類でステージ3以上が難病指定の目安となります。また、パーキンソン病で日常生活に支障(オンオフが不安定)が生じている場合、障害年金の対象となることがあります(審査は厳しいです)。

パーキンソン病の病理

パーキンソン病は何らかの原因(脂肪のストレスや損傷が原因と考えられている)で、αシスクレインというタンパク質が異常に脳細胞内に集積しレビー小体と呼ばれる封入体を形成し、それにより中脳の黒質の神経細胞が変性・死滅し、ドパミンの産生が低下する。

ドパミンの低下は線条体へのドパミン入力の低下を招き、直接路(淡蒼球内節ニューロンの活性化→視床の抑制)と間接路(淡蒼球外節の抑制→視床下核の活性化→淡蒼球内節ニューロンの活性化→視床の抑制)を経て大脳皮質の運動野の活動を低下させ、振戦、固縮、無動、および姿勢反射障害を生じる。

(詳しくは大脳基底核参照)

図のように、運動障害を引き起こさないためには、淡蒼球内節ニューロンを活性化させないことが必要で、これには直接路で線条体GABAニューロンが活性化か、間接路で線条体GABAニューロンが抑制されている必要がある。

間接路でGABAニューロンを抑制するためには、抑制性の介在性ニューロンであるコリン作動性神経が抑制されている必要があり、これを抑制するのがD2受容体を介したドパミンによる刺激であったり、抗コリン薬である。

黒質、線条体を経て脊髄前角へ投射する系は、錐体外路系と呼ばれ、筋の緊張の維持と不随意運動の調節に大きくかかわっています。

これらの機序により引き起こされる中核的運動症状(振戦、筋固縮、無動、および姿勢反射障害)は、4主徴と呼ばれている。

(William R. Gowersのパーキンソン病患者の臨床像。Wikiより引用)
  • 振戦・・・主に手や足、あごに起こる震えで左右どちらかが強い。
    安静時振戦はパーキンソン病に特徴的な症状で、字を書く動作などでは止まるが、お金を払おうとして財布をもったりすると手が振るえる。
    安静時とは、心身ともにリラックスしている状態ではなく、精神的に緊張していて体だけが止まっている場合などを指す。
    安静時ではない本態性振戦にはアロチノロール等の交感神経抑制薬が使用される。
  • 固縮・・・筋の緊張が強くなり手足の動きがぎこちなくなる(歯車現象)
    筋固縮は、特に手関節や肘関節を屈折させたときにカクカクとなる歯車様固縮が特徴的であるが外観からはわからない。
  • 無動・・・動作が遅く、鈍くなる。声が小さい、字が小さくなる、顔の表情が乏しくなる等。
    無動は、受付など呼び出してからカウンターに来るまでが遅い、呼び出しに対する返事の声が小さくて効きづらいなどから判断される。
  • 姿勢反射障害・・・体のバランスがとりにくくなるため、転びやすくなる。前かがみの姿勢。

また、ドパミンの低下により、アセチルコリンの作用が相対的に優位となり、4主徴が助長される。

4主徴以外の症状

ドパミンの量が低下するため、ドパミンから作られるノルエピネフリンも同時に低下し、すくみ足(足を地面から十分持ち上げることができず小刻みで早い歩幅で歩く)が見られるのも特徴です。

レビー小体型認知症(DLB)とパーキンソン病ではレビー小体の蓄積が原因という点では共通しており、認知が強いとレビー小体型認知症、運動障害が強いとパーキンソン病という形になっている。

そのため、DLBの示唆的特徴である

  • レム睡眠行動異常症・・・体は休んでいるのに脳が休んでいない状態。夢を見るのはこの時だが夢を見るときのようにじっとしておらず、大声で叫んだり、起き上がったりといった行動を引き起こすことがある。
  • 大脳基底核でのドパミントランスポーター取り込み低下
  • 自律神経・感覚神経障害(便秘(8割に合併)、排尿障害、嚥下障害、嗅覚障害、起立性低血圧)
  • うつ
  • 幻覚

等の非運動症状は運動症状を主体とするパーキンソン病発症の目安となる。

うつや消化器障害、睡眠障害はセロトニンの不足の時の症状と同じであり、ドパミン神経の変性がセロトニン神経にも影響していると考えられる。(パーキンソン病患者ではガムを噛むことで症状が緩和されるという方もいる)

パーキンソン病のメカニズム

パーキンソン病はいまだ発症の原因は不明(細胞内のミトコンドリア障害や酸化ストレス等の可能性が示唆)であるが、メカニズムに関しては明らかにされている。

中脳の黒質で作られたドパミンが黒質神経細胞終末のシナプス小胞からシナプス間隙へと放出され、大脳基底核の線条体の神経細胞とシナプスを形成し、線条体のレセプターへ取り込まれる。

一部のドパミンは黒質神経終末へDAT(ドパミントランスポーター)を介して再取り込みされてドパミン量調節へと使われる。

DATスペクト検査(ドーパミントランスポーターシンチグラフィー)では、ドパミン神経の障害を画像で捉えることができる。DATスペクト検査では特定の放射性トレーサー(例えば、[^123I]FP-CIT)を使用して、ドーパミントランスポーター(DAT)の分布と濃度を測定し、ドーパミンの再取り込みと代謝の過程を観察できます。

(日本メジフィジックス株式会社より引用)

このメカニズムを考えるのにはAch(アセチルコリン)とDA(ドパミン)の天秤の関係を理解することが大切で、Achが多くなるとDA量は減り、逆にDA量が多くなるとAchが増えるというように、お互いが競合関係にあるといえる。

ドパミンはチロシンからTH(チロシン水酸化酵素)の働きでLドパになり、L-ドパ(レボドパ)をドパミンに変換するためには、アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)が必要です。AADCは、レボドパをドパミンに変換する鍵となる酵素で、この反応は中枢神経系および末梢神経系の両方で起こる。

ドパミン自体はBBB(血液脳関門)を通過できないため、パーキンソン病の治療においてはBBBを通過できるレボドパを使用する。

しかし、レボドパは末梢でもAADCによってドパミンに変換されるため、時に末梢での副作用を引き起こすことがある。このため、レボドパ療法では通常、カルビドパやベンセラジドのような末梢のドパミン脱炭酸酵素阻害剤と併用される。これらの薬剤は血液脳関門を通過せず、末梢でのレボドパのドパミンへの変換を防ぎ、副作用を減少させるのに役立つ。

すくみ足抑制の機序は以下の通りで、青斑核のドパミン不足、またはDBH(ドパミンβヒドロキシラーゼ)の活性低下によりノルアドレナリンが作られないことによる。

ノルアドレナリンの前駆物質であるドロキシドパをすくみ足の抑制のために使う。

パーキンソン病ではTH(チロシン水酸化酵素)やDBH(ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ)の活性低下(交感神経の低下)が見られる。

MIBG心筋シンチグラフィーは、MIBG(メタヨジンベンジルグアニジン)という放射性トレーサーを用い、心臓の交感神経系の機能を調べることができ、心臓病や神経系の疾患(パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症等の交感神経系に影響を及ぼすもの)、褐色細胞腫の鑑別診断に用いられる。

パーキンソン病でのMRIはパーキンソン病以外の疾患を除外するために用いる(パーキンソン病自体は鑑別できない)

パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の初期治療の目標は、現在の運動障害を最小限に抑えると同時に、将来に起こりえる不随意運動のジスキネジアや症状の日内変動を抑えることにある。

発症早期では薬物療法の対象となります。日常生活に支障があった場合のみ治療開始となり、症状によっては2種を併用します。

非高齢者かつ認知症なしの場合は、ドパミンアゴニストで治療開始、高齢者かつ認知症ありの場合は、L-ドパ合剤で治療を開始することが勧められている。

これらの治療で運動症状の改善が不十分な場合には、それぞれL-ドパ合剤、ドパミン作動薬を追加するが、増量による副作用が強く出た場合は、他の機序の薬を追加する。治療初期の吐き気は通常1か月程度で収まるのでその間はドンペリドン等で対処する。

進行期パーキンソン病では、L-ドパの運動症状に対する薬効時間が短縮し、服用後数時間すると薬効が切れるといったwearing-off現象を伴うこともしばしばであるため、L-ドパの運動症状改善に必要な血中濃度を維持するために、MAO-B阻害薬などを追加したり、投与回数を増やす等の工夫が必要である。

こうした調整により薬剤の血中濃度が高くなった時に、自分の意志に反して手足などが勝手に動く症状(不随意運動:ジスキネジア)や悪心・嘔吐、幻覚・妄想が起こることが有ります。

Wearing Off L-ドパの薬効時間が短縮し、L-ドパ服用後数時間経過するとL-ドパの効果が消退する現象。 直訳すると、「消耗して切れる」という意味。
Wearring offが生じた場合、レボドパにMAOB阻害薬を追加し、その後レボドパの少量頻回投与に切り替える。
On-Off L-ドパの服用時間に関係なく症状がよくなったり悪くなったりする現象 「電源スイッチがオン・オフしたように」突然パーキンソニズムが変動する。
No-on L-ドパを服用しても効果発現が見られない現象
Delayed-on 効果発現に時間を要する現象
ジスキネジア レボドパを長期投与していると、ドパミンの貯蔵機能がなくなってきて、ドパミンが枯渇することがあるため起こる。手足が動き体がゆらゆら揺れる。ジスキネジアの震えは4主徴の振戦とは異なる。
ジスキネジアを生じた場合はレボドパを減量してDA受容体作動薬を追加する。

薬の服薬以外の治療としては、

  • リハビリ・・・オフの時には動くことなど到底できないので、ONの時に行う。基本はウォーキング。ボクササイズも人気。
  • Lドパ持続経腸療法(LCIG)・・・胃瘻を増設し、小腸に直接レボドパ(デュオドーパ配合経腸用液)を持続的に注入する方法で、胃のpHに左右される内服のように高タンパク食などによる吸収低下や効果のムラを除外でき、レボドパの効果が安定する。ポンプ+薬剤+カセット(500g程度)を持ち歩かなければならないが、24時間ではなく活動している時のみでよい。

    (図:順天堂大学医学部付属順天堂医院 脳神経内科HPより引用)
  • 脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation, DBS)・・・特定の脳の深部にある視床下核に電極を、そこから延長用のリードを伸ばしてパルス発生器につなげて、それを胸に埋め込み、患者用のプログラマー端末を用いて刺激のON/OFFを入れ替えることで、様々な神経系疾患の症状を軽減する。侵襲的治療法であるためジスキネジアなどによる運動障害(振戦・無動・固縮であり便秘などには効果はない)が薬物治療だけではコントロールできない場合にのみ使用。
    保険適用されておりますが、20~30万の費用は掛かります。
    • 手術:患者の頭蓋骨に小さな穴を開け、脳の特定の部位に電極を正確に配置します。この電極は通常、MRIやCTスキャンなどの画像診断技術を用いて位置決めされます。
    • 刺激装置の設置:電極は胸部に埋め込まれた刺激装置(パルスジェネレーター)に接続され、この装置から電気刺激が脳に送られます。
    • 調節:手術後、医師は刺激の強度やパターンを調整し、患者の症状に最適な設定を見つけます。

などがある。

レストレスレッグス症候群

パーキンソン病の症状の一つでもありますが、パーキンソン病でなくても起こります。

レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome, RLS)は、脚に不快感や異常な感覚を感じ、それに伴って脚を動かす衝動に駆られる神経系の障害です。この症候群は特に休息時や夜間に症状が現れ、睡眠の質を低下させることが一般的です。

RLSの主な特徴は以下の通りです:

  • 不快感や異常な感覚:脚に感じる症状は、しばしば「むずむずする」「引っ張られる感じ」「ピリピリする」「痛み」などと表現されます。
  • 休息時の症状の増加:RLSの症状は、患者がリラックスしている時や座っている時、特に横になっている時に悪化します。
  • 動くことでの一時的な緩和:脚を動かすこと(歩行、ストレッチ、揺らすなど)で、症状は一時的に緩和されます。
  • 夜間の症状の悪化:夜間、特に就寝時に症状が悪化する傾向があります。

RLSの原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与している可能性があります

  • 遺伝的要因:家族歴がある場合、RLSを発症するリスクが高くなることが知られています。
  • 鉄分の不足:鉄分の不足や鉄代謝の問題は、RLSの一因となることがあります。
  • ドパミン:脳内のドパミンの不均衡が、RLSの症状と関連している可能性があります。

治療薬として適応があるのが、D2受容体刺激薬であるビシフロールとニュープロパッチ、Caチャネル遮断薬のレグナイト(ガバペンのプロドラッグで機序は同じだが、吸収トランスポーターが異なる。)。第一選択はD2刺激薬で、効果が得られない場合にレグナイトを使用。

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