ヘルパーT細胞の分化前編

多分化機能を持つ造血幹細胞は、リンパ系前駆細胞を経て、キラーT細胞やヘルパーT細胞らの元であるT細胞前駆細胞(CD4-、CD8-)に分化する。

このCD4-CD8-細胞では、TCRβ鎖の遺伝子が再編成されると、同時にCD4・CD8抗原を発現してCD4+CD8+細胞となる。

再編成が失敗した場合は、アポトーシスにより除去される。

そして、CD4+CD8+細胞で今度はTCRα鎖の遺伝子が再編成され、TCR弱陽性、つまり、自己抗原(MHC分子と自己ペプチドの複合体)に対して弱いアフィニティーを持つもののみが正の選択(ポジティブセレクション)を受けてCD4+CD8-(ヘルパーT細胞)とCD4-CD8+(キラーT細胞)に分化する。

この時、自己抗原に対して強い親和性を持つものや親和性が全くないものはアポトーシスにより取り除かれる。

ヘルパーT細胞はTCRにαβ鎖を持つものとγδ鎖を持つものに分けることができる。このうちαβ鎖をもつヘルパーT細胞は、 最初CD45RO抗原とCD1a抗原を発現しているが、CD45RO→CD45RAの変換とCD1a分子が消失して反応性を高めていく。

γδT細胞はIL-4を産生しTh2細胞を誘導する。

そして、さらに成熟化すると、ケモカイン受容体であるCCR7、CXCR4を発現してナイーブT細胞となる。

T細胞の分化は胸腺で行われが、CCR7を発現することにより胸腺、脾臓、リンパ節、パイエル板などの二次リンパ組織と血液間での移動が可能になる。

こうして、胸腺で生まれたナイーブT細胞は、リンパ球の血液から組織への入り口となるHEV(高内皮小静脈:high endothelial venule)を介して二次リンパ組織へとホーミングする。

二次リンパ組織のHEVはケモカインSLC(Secondary lymphoid tissue chemokine)を構成的に発現しており、CCR7に作用してT細胞だけでなくB細胞もリクルートする。

CCR7のリガンドであるケモカインにはSLC、ELC/MIP-3βがあり、SLCはHEV、リンパ管内皮、T細胞領域などで、ELCはリンパ組織の相互連結細胞に発現が認められる。

SLCはリンパ球のインテグリンαLβ2(LFA-1)やα4β7を活性化してそれぞれのリガンドであるICAM-1やVCAM-1を介してHEVへの強固な結合を誘導し、さらに血管外への遊走も誘導する。


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