非特異的免疫反応

ランゲルハンス細胞・真皮樹状細胞には異物の貪食作用はありませんが、マクロファージや好中球は異物の貪食作用を持ちます。

マクロファージやマクロファージ等が分泌するIL-8の作用で標的部位に集められた好中球は、病原体表面の特定の分子パターン(PAMPs、DMAPs)を認識することにより、異物を識別→異物に結合します。

結合するとマクロファージや好中球は異物を細胞膜で包み込み細胞内に取り込みます(貪食)。これにより、細胞内に「貪食小胞」または「ファゴソーム」と呼ばれる構造が形成されます。

ファゴソームは細胞内のリソソームと融合します。リソソームは、強力な消化酵素を含む細胞内小胞で、この融合により形成される新しい構造を「ファゴリソソーム」と呼びます。

リソソームの消化酵素の代表は、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)とプロテアーゼです。

  • ミエロペルオキシダーゼ (MPO):これは、特に好中球のリソソームに豊富に存在する酵素で、強力な殺菌作用を持ちます。MPOは過酸化水素(H2O2)と塩素イオン(Cl-)を反応させて次亜塩素酸(HOCl)などの反応性酸素種(ROS)を生成します。これらの化学物質は非常に反応性が高く、細菌の細胞壁や細胞膜を破壊することにより、細菌を殺菌します。このプロセスは、病原体の除去において重要な役割を果たします。
    MPOは顆粒球と単球にのみ存在するアズール顆粒内にあり、リンパ球にはない。そのため、白血病分類でMPO染色を行うと骨髄系かリンパ系かを区別することができる。
  • プロテアーゼ:リソソーム内のプロテアーゼは、タンパク質分解酵素の一群です。これらの酵素は、貪食された病原体や異物のタンパク質を小さなペプチドやアミノ酸まで分解します。この分解過程は、病原体を無害化するだけでなく、抗原プレゼンテーションのためのペプチド断片を生成することにより、免疫系による特異的な反応を促進するためにも重要です。
  • エステラーゼ:エステラーゼ染色は白血病を分類するときに用いる。(骨髄系のうち単球系か顆粒系か)
  • 好中球アルカリホスファターゼ(NAP):慢性骨髄性白血病(CML)では、NAPスコアが異常に低いことが多いです。CML患者の好中球が正常に機能しないためです。したがって、NAPスコアはCMLの診断の一環として利用されることがあります。

これらの働きにより、異物は無害化され、その成分はさらに利用または排出されるためにペプチドまで分解されます。ペプチドはマクロファージ細胞表面に発現しているMHC分子(ヒトHLA)と複合体を作ってヘルパーT細胞へ受け渡されます。

なお、B細胞、ランゲルハンス細胞・真皮樹状細胞も表面にMHC分子を発現しているため抗原提示能力を持ちます。

MHC分子というのもCDと同じように名札のようなものと考えてください。

MHCクラスⅠ分子はすべての細胞に発現していますが、MHCクラスⅡ分子はマクロファージやB細胞など特定の細胞にしか発現していないということを覚えておいてください。



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